壁がさみしいから逆立ちをする男    岸本水府

(川柳全集④「岸本水府」より。)
壁がさみしい。さみしい壁を飾るオブジェとなるために逆立ちをする男。ふつうであり、どこか異様である。さみしいのは「壁」であり、「わたし」ではなく、逆立ちをするのも「男」であり、「わたし」ではない。そのことがかえって、「わたし」の捉えどころのないさみしさをよく表現している。私が生まれた年に、こんなことを言って壁を見つめていた人がいるのである。

2014年1月21日 18:37