心臓を浸した十二月の青    小奈生

団地の郵便局まで坂道を上る。12月の末、午前11時の南向きの上り坂である。眩しくて冷たくて何かしら悲しい。自転車に乗ったジャージのおじさんが立ち漕ぎでわたしを追い抜いて行く。向かい側からは、これも自転車のおじさんが穏やかな表情でするすると坂をすべり下りてくる。きっと背中がほこほことあったかいにちがいない。坂を上りきったところに団地のいちばん端の棟がある。地面に垂直に立つ建物のまっすぐな線と線の間から、その向こうにひろがる町が見える。ほんの少し。まるで海が見えるみたいに。思い出したように顔を上げる。せめて雲の切れ端くらいないものかと思ってしまう空がある。

2015年12月30日 12:05