美しい国にしたいのいちぶぶん   なかはられいこ

栄のホテル・ザ・ビー1Fの《ビストロしゅりあん》で、ねじまき句会の新年初句会を行いました。特別バージョンで時事詠一句と前句附一句の宿題をもらって、みなそれぞれに苦しみました。もちろん、わたしも。
上は、なかはられいこさんの時事詠です。「美しい国に死体の一部分」とも、「美しい国にしたいの。一部分」とも読めます。「美しい国」などと言ってみても、兄が妹を、妻が夫を殺してバラバラにするなんてことが平気で起こっているこの国の異常さが際立ちます。どこが美しいねん。また、後者のように区切って読むと、首相が小さな声で「美しい国にしたいの」と言っている様子が、漫画の1コマのように浮かびます。しかも「一部分」ですって。どこよ、それ?と突っ込みたくなります。いずれにせよ、「美しい国」というお題目の空疎さがあますところなく伝わってきます。そして、何よりわたしが感動したのは、「美しい国にしたいのいちぶぶん」という句全体としての姿のうつくしさです。時事詠というと、何やらごつごつした感じや理屈っぽい感じがでてしまいそうなのに、まったくそれがありません。「美しい」という言葉の持っている妖しい怖ろしさが生きています。こんな風に時事を句にすることのできるなかはられいこさんに改めて惚れ直しました。この句のあたりから、れいこさんの柔らかな声がたちのぼります。柔らかな心そのままの声です。

2007年1月14日 17:17